第三世界の経済
ラテン・アメリカのカトリシズムの間で、いま最も問題となっているのが「解放の神学」です。
解放の神学とは、現実の社会改革と人間解放に、キリスト教の神髄を見る急進的な社会派神学といえます。
すなわち、彼ら解放の神学派は、原初のキリスト教は、奴隷解放の宗教であり、キリストは貧しい民衆の味方であったということを原点として、キリスト教による民衆の解放を主張します。
この解放の神学に対して、1984年9月、信仰教義聖省(ローマ法王庁内の一機関)のジョセブ・ラッツィンガー枢機卿は「解放神学のいくつかの側面について」という公の声明を発表しています。
その声明は、かなりの反響をカトリック世界で巻き起こしました。
この声明では、バチカンが解放の神学自体を否定せず、その必要性を認めた点が注目されます。
ただし、同声明は宗教と政治の混同、マルクス主義的暴力革命への傾斜には、厳しく批判を投げかけています。
総本山のバチカン自身にしてもローマ法王自らが、第三世界のあちこちを勢力的に訪問して第三世界、低開発国の人権問題、経済開発問題に真剣に取り組んでいます。
バチカンは第三世界の近代化の方向にシフトしつつあるのです。
ローマ法王庁、バチカンは約8億の信者、42万人の神父、98万人の修道女、3700人の司教、130人の枢機卿を統括する一大国際組織です。